協調性がさらに失われたような……ランニングが僕の心に与えたプラスとマイナスの影響とは

 相変わらず蒸し暑い日が続いているけれど、お体には変わりはありませんか。僕はちょっと疲れ気味です。


 でも夏バテとかそういうのではなくて、夏の間、かなり真剣にランニングに取り組んだせいで足に疲労が蓄積してしまい、朝、走り出してしばらくは体が重くて仕方がないのだ。20、30分ほど走ると次第に足取りが軽やかになってくれるのだが、10kmを超えたあたりから再び重くなり、ジョギングシューズを履いた足がアスファルトの地面にズブズブとめりこんでいくような錯覚にとらわれてしまう。

 9月はレースシーズンの到来に備えて30km程度の長い距離を走ったり、インターバルトレーニングを試みたりしようかななどと考えていた。でもその前に積極的に休みを取り入れた方がいいかもしれない。ちなみに8月の走行距離は約250kmで、週4回以上のペースで走るようになった昨年10月からの累計走行距離は約2000km。ピーク時の月間走行距離が1000kmを超えるエリートマラソンランナーとは比べるべくもないし、市民ランナーとしても初級と中級の間くらいのレベルだろうけれど、僕にしてはよく走ったと思う。

 それだけ走ると、やはりそれなりの影響がブーメランのように自分に返ってくる。何よりも顕著なのは、よく言われる通り、減量効果である。週3回以上走るようになってから目に見えて体重が落ちていった。それ以前の約10年間、平均すると週2回走ってきたのだが、ほとんどダイエットの足しにはならず、もともと太りやすい体質ということもあって着実かつ確実に腹やあごに脂肪が貯まり、体重が増えてしまった。それを考えると僕にとっては週3回が太るか痩せるかのクリティカルポイントと言えるかもしれない。

 しかし、ランニングの影響は体に対してだけではないんですね。

 実は心にも知らないうちにプラス、マイナスの影響を与えていたようなのだ。まずプラスを言えば、明らかにイライラが減ったと思う。乗ったタクシーが渋滞に巻き込まれても、部下が期待したほどの成果を上げてくれなくても、「仕方ないか」という諦念に近い達観を抱けるようになった。まあ、これが行きすぎるとマイナスに振れてしまうけれど、精神衛生上は悪くない。継続的に運動しているとふだんの生活で副交感神経が活発に働き、リラックスしやすくなると聞いていたのは本当みたいである。

 一方、マイナスの影響について言うと――これをマイナスだと断言できるかどうかは微妙なところもあるのだが、独りでいるのが好きで、マイペース型で、いささか協調性に欠けるところもあるもともとの性格的傾向に拍車がかかってしまった。独りでいるのが以前よりいっそう好きになり、よりマイペース型になった気がする。少し前までは人に好かれたい気持ちを人並みか、あるいはそれ以上に持っていたのに、それもなんだか薄れてしまった感じである。それなりの社会性、社交性はかろうじて残っているけれど、この先、どうなってしまうかちょっと心配である。

 それにしても、なぜこんな傾向が強まってしまったのだろう。つらつら考えるに、ランニングとは僕にとって「完全に自己完結している行為」だからではないだろうか。仕事にしても趣味にしても、だいたいおいて他人が誉めてくれたり喜んでくれたりすることでやりがいや楽しみを見いだすわけだけれど、ランニングについては他人の存在をまったく必要としないで充実感や達成感を味わえるのだ。そんな個人的行為を延々と続けていることで、僕は協調性をさらに失ってしまったのではないだろうか。そして、やがては偏屈になってしまう……?

 でも、だからと言って、僕はランニングに他者の存在を求めくはないんですよね。どこかのランナーズクラブに所属したり、仲間と一緒に走るなんてしたくない。だって他者の視線から自由になり、孤独に自分自身と対話できる喜びを手放すなんて絶対にできないですから。
 
 というわけでこれからもせっせと独りで走ることになりそうですね。足の疲れが取れたら距離を伸ばし、10月には月間300kmを目指そうと思っています。