北京オリンピック雑感その1、日本野球はどうすれば強くなれるか

 野球の星野ジャパン、残念でしたね。22日の準決勝では韓国に2対6で敗れて金、銀メダルの可能性を失い、23日のアメリカとの3位決定戦でも8対4と大敗して銅メダルさえ取れず、まさに「金しかいらない」というキャッチフレーズの通りになってしまった。選手たちはよく頑張ったと思うし、また勝負は時の運だとも言うけれど、北京五輪での最終成績は4勝5敗、準決勝に進出したキューバアメリカ、韓国から1勝もできなかったのはやはり期待はずれというか、情けない結果だといわれても仕方がないと思う。

 星野ジャパンの敗因について、メディアはいろんなことを言っている。合同練習を実質的には5日間しか行わなかった調整不足が原因だとか、予選の韓国戦で打ち込まれた岩瀬投手を準決勝の韓国戦でも投げさせた采配が問題だとか…。まあ、それらの指摘はどれもそれなりに正しいのだろうけれど、要するに自分たちの力を過信していたのではないだろうか。「金しかいらない」だなんて、厳しいかもしれないが身のほどを知らなかったとしか言いようがない。

 加えて必死さにもやや欠けている気がした。オリンピックのために4年間、自らの限界と闘い続けてきたほかの競技の選手たち――それも日の当たらない場所でがんばってきたアマチュアの選手たちのひたむきさに比べると、「オリンピックで勝てなくてもスター選手としての知名度や年俸は安泰だからさ」という本音が――こちらがそのような目で見るせいもあるとはいえ、どうしてもちらついてしまうのだ。


 というわけで、今回は日本のプロ野球をもっと強くするためのごく私的な提言です。野球は次のロンドン五輪では正式種目から外されてしまうけれど、来年3月には大リーグ(MLB)の選手たちも参加する国際大会ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)があり、それまでには少しでも世界と戦えるようになっていてほしいですからね。


 ポイント1 規制緩和
 MLBや韓国の選手たちに比べると、日本人選手がひ弱に感じられてしまうのは、鎖国体制とさえ言える参入障壁に守られているせいではないだろうか。具体的には公式戦では外国人選手の一軍登録は4人までという外国人選手枠の存在である。そのおかげで、日本人選手は3Aや独立リーグに所属する中南米のハングリーでパワーのある選手たちと真正面からぶつからずにすみ、内輪のサークルでの繊細な技術の競い合いに安住できている気がしてならない(自分たちの実力を勘違いしていたのも、そのせいだと思う)。
 それなのでぜひ外国人選手枠を撤廃し、彼らハンバーガーリーグのプレーヤーたちに活躍の場を与えてほしいですね。日本人選手には厳しい刺激になるだろうし、彼らは日本人選手の半分いや3分の1の年俸でも喜んでプレーするに違いないからコストだって下げられるだろう。話はちょっとずれちゃいますが、日本人選手の年俸って、護送船団方式で守られていた銀行の給与水準が常に国際競争にさらされていたメーカーよりも高かったのと一緒で、その実力のわりに高すぎると思います。


 ポイント2 デファクトスタンダードの採用
 いまからでも遅くないのでストライクゾーンや使用しているボールを早急に国際標準に合わせてほしい。日本独特のストライクゾーンや、MLBに比べて飛ぶボールは、世界と戦ううえでマイナスにしかならないと思う。対戦相手のデータ分析にしても、日本のプロ野球って、実はけっこう遅れてしまっているようなので、MLBのアナリストから学んでほしい。


 星野監督は3位決定戦での敗戦の後の記者団とのやりとりで「われわれに力がなかったということ」とコメントしている。ここから再スタートをきってほしいですね。敵を知り、己を知ることが再生への第一歩なのだから。