ご近所グルメの楽しみ――極私的チェーン店居酒屋ランキング

 ここ数年、昔と変わらぬたたずまいを残す大衆居酒屋がメディアで盛んに取り上げられ、北千住の大はしや神田のみますや、十条の斉藤酒場などはいまや全国区の有名店になってしまった(九州在住の知人が大はしで飲みたいなどと言っていた)。僕ももちろんこの手の古典居酒屋は嫌いじゃなくて、何度か森下の山利喜で飲んだことがあるし、赤羽のまるます家で妻と日本酒を酌み交わしたこともある(まるます家はとても気持ちいい店だった)。

 でも、寡聞にしてだれも書いていないようなので敢えて書きますが、チェーン店の居酒屋だっていまや大変なものだと思う。僕が生まれて初めて酎ハイを飲んだ学生時代(1980年代)に比べたら驚愕すべきと言っていいくらいのレベルアップを遂げていて、アルコールの品揃えは豊富だし、料理も値段を考えればおいしいし、おまけに研究熱心な店が少なくないので新規メニューの開発力もあなどれない。居酒屋評論家と称するある人は「近ごろ居酒屋が間違ってイメージされている。街外れにぽつんとあるような古い店こそ正しい居酒屋だ」などと、まるでチェーン店は邪道みたいなことを書いているけれど、それって裏返しの権威主義だと思う。

 というわけで今回は極私的なチェーン店の居酒屋ランキングである。対象は僕が住む川口の店。僕も妻もまあどちらかと言えば多忙なので、土曜日の夜などはけっこうチェーン店の居酒屋で待ち合わせ、飲んだりすることが多いのだ。


1位、日本橋
 土風炉や魚魯魚魯(GyoroGyoro)などを展開する株式会社ラムラのチェーン店。とても落ち着けるし、夏野菜冷しゃぶサラダ、もっちり豆腐といった創作メニューが面白い。ゴーヤチャンプルはどこのものよりおいしいと思う(というのも大げさですね。まあ、好き好きですから)。

2位、かまどか
 焼き肉の牛角やしゃぶしゃぶ温野菜などを展開するレインズインターナショナルのチェーン店。北海ずわいがに釜めしは薄味で、ほくほくしていておいしい。りんごなどのフルーツを使ったかまどかウォルドルフサラダはちょっと珍しい味を楽しめる。

3位、わたみん家
 ワタミが展開する低価格帯の業態で、とにかく安いんですよね。1人2000円も出せばそれなりに飲み食いできる。ハムカツ串揚を頼み、つきだしのキャベツと一緒に食べるとおいしい(B級グルメの楽しさ!)。どでか焼おにぎりもおいしい。


 くつろぐ私。だいぶ酔っぱらってる感じですね。

 古くからの大衆居酒屋については数多くのガイドブックがあるし、雑誌でもよく特集されるけれど、だれかチェーン店の居酒屋をきちんと評価、分析したガイドブックを書いてくれないかな。だれもやらなければいつか僕がやろうかな。