梅雨の季節はすぐそこに  雨の休日に読む本は

 このところ週末になると天候が不順になってしまう感じである。先週も17日(土)もにわか雨が振り、5月10日(土)から11日(日)にかけても雨が降ったりやんだりした。この先、いよいよ梅雨の季節に入るので、雨の休日がさらに増えるかもしれない。

 そんな時、皆さんはどうされていますか。

 僕は早々に外出を諦め、原稿執筆にいそしんだり買い溜めした本を読んだりしている。というわけで、今回は梅雨時の読書――それも仕事のこととか来し方行く末を考えたりするのに役立ちそうな書籍を紹介したい。

 まずは『夢を叶える夢を見た』(内館牧子著、幻冬舎文庫。僕が最も好きなノンフィクションの1冊で、夢のために安定を捨てた人、捨てられなかった人など、さまざまな職業の人たちの生き方や心の動きをていねいに追いかけた作品である。私はこのままでいいのだろうかと悩んでいる人(僕も時々そんなふうに考えたりします)にはとりわけおすすめである。

 続いて『プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか』(P・F・ドラッカー著、上田惇生訳、ダイヤモンド社ビジネスパーソンとしてはやはりドラッカーを避けて通れないところがある。本書はドラッカー入門編とも言うべき著作で、ポスト資本主義社会にあって人はいかに働くべきか、いかに人生をマネジメントすべきかをアドバイスする。とっつきやすい本だと思う。

 3冊目は『上司は思いつきでものを言う』(橋本治著、集英社。会社の偉い人はなぜ下らないことしか言わないのかきちんと考察してくれて、タイトルも含めて「そうなんだよな」と思わず膝を叩きたくなる。現場を大切にしない組織は本当にダメなんですよね。

 4冊目は『会社はこれからどうなるのか』(岩井克人著、平凡社。モノでありながらヒトでもある法人の二面性に光を当て、「企業は株主のものである」という議論の限界を指摘し、これから求められる会社のあり方、働き方を予見する。目から鱗が落ちる

 5冊目は『アースダイバー』中沢新一著、講談社縄文人の心が東京の現在にも生きている──ビジネス書ではないけれど、ユニークな視点、切り口とはこういうことなのかを実感できる“快著”だと思う。『対称性人類学 カイエ・ソバージュ5』『芸術人類学』もぜひ。

 どれも話題になった本ばかりなので、すでに読まれた方は少なくないかもしれない。未読の人は機会があればぜひひもといてみてください。

 あ、それから最後にもう1冊、アソシエの連載コラム『男と女の新しい働き方』に時々執筆していただいているエッセイスト、神谷ちづ子さんの近著『女性の見識』(ディスカヴァー・トゥエンティワンも紹介したいと思う。本書は、美しくハッピーに年齢を重ねていくための秘訣を外交官の妻として各国を渡り歩いてきた著者が語り下ろしたエッセイで、思わずドキリとさせられる鋭い指摘がユーモアとエスプリの効いた文章で綴られています。